海洋プラスチックが「未来をつくる教材」に
このプロジェクトの出発点には、長崎県対馬が直面する深刻な海洋プラスチック問題があります。海流によって国内外から大量に流れ着くプラスチックごみは、対馬の豊かな自然や人々の暮らしに大きな影響を与えています。
しかし、「なかよしアルティメット」では、Dolphin Papa合同会社が開発した技術により、この海洋プラスチックが再生素材を活用したフライングディスクへと生まれ変わりました。環境を傷つける存在だったプラスチックが、子どもたちの学びと笑顔を生み出す教材となることで、「自分たちの工夫によって、新しい価値に変えることができる」という前向きな問題解決の視点を提供しています。


日本の高校生の思いをルワンダへ
この活動には、オイスカ浜松国際高等学校の生徒たちも深く関わっています。2026年6月22日には、「なかよしアルティメット」リーダー研修会が開催され、生徒たちはアルティメットの技術だけでなく、セルフジャッジや対戦相手を尊重する「S.O.T.G.(Spirit of the Game)」の理念を学びました。
研修後、生徒たちは海洋プラスチック問題や平和への思い、ルワンダの子どもたちへのメッセージをフライングディスクに書き込みました。鈴木哲子教諭がそのディスクをルワンダへ運び、現地の子どもたち一人ひとりに手渡すことで、日本の高校生の願いが海を越えて届けられました。

「空を飛ぶ」ことから学ぶ人生のメッセージ
なかよし学園代表の中村雄一氏は、フライングディスクを渡す前に「空を飛ぶ」というテーマの授業を行いました。人間には翼がなくても、飛行機やロケットを生み出したように、「空を飛びたいという願いを諦めず、夢を追い続けてきた」と子どもたちに語りかけました。そして、「翼のない人類にとって、空を飛ぶための翼は『夢』です」というメッセージを伝えました。
竹とんぼやフライングディスクを例に、同じ「空を飛ぶ」という目的でも、形や仕組み、力の加え方を変えれば飛び方が変わることを実演。この科学的な気づきを、「一つの方法で夢がかなわないとき、夢を諦める必要はありません。飛び方を変えればいい。方法を変え、何度も挑戦すれば、翼を持たない私たちも空を飛ぶことができます」という人生の教訓につなげました。

「一人でかなえられない夢は、仲間とかなえる」
授業の後半では、アルティメットの基本練習を通じて、協働の精神が伝えられました。アルティメットでは、ディスクを持った選手は走り続けられず、仲間へのパスが必要です。中村氏は、「一人でかなえられない夢は、仲間とかなえる」というメッセージを子どもたちに伝えました。
パスをつなぐことは、相手を信じ、協力して目標へ向かうこと。子どもたちは練習を重ねるうちに、互いの動きを見てパスを出し、笑顔でフィールドを走り抜けるようになりました。


審判のいないスポーツが教える平和
アルティメットの大きな特徴は、原則として審判を置かず、選手自身がルールを守り、話し合いによって競技を進める「セルフジャッジ制」です。意見が異なる場合でも、対話を通じて解決策を探します。これは相手を敵として排除するのではなく、同じ競技を成立させる大切な仲間として尊重する姿勢を育みます。
なかよし学園は、南スーダン、カンボジア、ケニア、そしてルワンダといった異なる歴史や文化を持つ地域でアルティメットを実践し、自分で考え判断する力、相手を尊重する力、対話で解決する力など、平和な社会を築くために不可欠な力を育んでいます。


コンソーシアム型国際教育が未来へつなぐ
この「なかよしアルティメット」は、長崎県対馬の地域・教育現場、Dolphin Papa合同会社、オイスカ浜松国際高等学校、そして特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトという4者の強みを結集したコンソーシアム型国際教育プロジェクトです。それぞれの専門性と学びをパスのようにつなぎ、地域課題を世界の教育へと変えています。
なかよし学園は、ルワンダでの実践成果を日本の参加校や地域へ還元し、授業内容や指導方法の改善、教材化を進め、世界各国での実装を目指しています。海を漂っていたプラスチックが空を飛ぶディスクになり、一人の夢が仲間とのパスによって前へ進む。この活動は、学びとスポーツを通じて平和を創造する取り組みとして、今後も広がりを見せていくでしょう。
関連情報:
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なかよし学園プロジェクト公式サイト: https://nakayoshigakuen.org
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世界とつながる学び「CoRe Loop」: https://nakayoshigakuen.org/coreloop