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富山の地域活性化の秘訣は「外とのつながり」と「生業づくり」!8地域の挑戦から学ぶ田園イノベーションのヒント

地域づくりの鍵は「外とのつながり」と「生業づくり」

イベントの冒頭、事業の統括プロデューサーである山口綱士氏(株式会社HAKUHODO DESIGN)は、地域づくりの二つの柱を提示しました。

一つ目は「コミュニティづくり」です。これは、来訪者が「ずっと関わりたい」と感じる理由を作り、繰り返し地域を訪れることで、非日常を日常へと変えていくことを指します。そのためには、まず自分の地域にどのようなニーズがあるのかを知ることが重要だと山口氏は強調しました。

二つ目は「生業づくり」です。地域資源を磨き上げるだけでなく、それが外部でも通用する価値へと転換すること、そして何よりも安定した「収益の仕組みづくり」が不可欠であると説明されました。

山口氏は、「地域を磨き上げ、外とつながることで、世界が憧れる田園地域を創出していきたい。各地域のみなさんの実例から、その答えが見えてくると思います」と述べ、各地域の発表への期待を寄せました。

8地域の挑戦と未来へのアドバイス

続いて、富山県内の8地域がそれぞれの活動状況を報告し、山口氏が一つ一つに丁寧なコメントやアドバイスを送りました。

① 富山市大長谷:認定NPO法人化で資金を確保し、有機農業と古民家リフォームを推進

27世帯39人の小さな集落である富山市大長谷では、地域おこし協力隊や自治振興会が中心となり、移住者や関係人口の増加に取り組んでいます。主な課題は、関係人口が増えてきたものの、受け皿となる住まいが少ないこと。この対策として、「NPO法人白木峰と大長谷を愛する会」の認定NPO法人化を計画し、資金調達の道を広げるとともに、有機農業の誘致と古民家リフォームを進める方針です。

山口氏は、「認定NPO法人化によって資金が集まりやすくなることに期待します。同時に、どんなニーズ、どんな取り組みが求められているのか、さらに探ることも必要ですね」とアドバイスしました。

富山市大長谷の発表

② 射水市西高木:若手農業グループ「F35」のモチベーション維持と土地活用

35歳以下の若手農業関係者で構成されるグループ「F35」は、「カッコいい農業」を目指し、古民家を拠点にレストランバスツアーや首都圏マルシェ、定期便試験販売などを実施してきました。メンバーは40人に増えましたが、モチベーションにばらつきが生じ、グループの目的があいまいになりつつあることが課題です。今後は古民家周辺の土地活用を進め、メンバーそれぞれにメリットがあるグループへの転換を目指しています。

山口氏は、「体制が大きくなると、関わりの深い人と浅い人が出てくるのは自然なことですが、そこで大事なのは、地域と関われる『関わりしろ』(余白)を作ること。地域との絆を深めながら、そこにうまくメンバーの活動も接続できるような仕組みが作れるとよいですね」と助言しました。

射水市西高木の発表

③ 富山市桐谷:地元住民と移住者、地域外者の協働モデルで関係人口を増やす

富山市桐谷では、地元住民や移住者などで構成される「桐谷六合企画」が活動しています。昨年は、住民と共に収穫体験や料理づくり、散策を楽しむ1泊2日のオーガニックビレッジツアーを実施し、参加者がありました。今後は、桐谷らしいツアーを確立し、空き家活用や交流スペース設置を通じて関係人口を増やしていく計画です。ダム周辺の自転車レース復活も目指しています。

山口氏は、「今後、どんな人に来てもらいたいのか。シニア層か、農業関係者か、地域づくり関係者か。絞る必要はありませんが、『どんな人に何を提供し、何ができるのか』を意識して活動を進めてください」とアドバイスしました。

富山市桐谷の発表

④ 砺波市庄川:「小学生が大人になっても住み続けたいまち」を目指す

砺波市庄川では、庄川こども商店や木育ワークショップ、水と木のクラフト展など、子どもたちを巻き込んだ多様なイベントを展開しています。地元野菜を活用したとうもろこしスープ開発も手がけました。地域のビジョンは「時をつむぎ、心をかさねる」。「小学生が大人になっても住み続け、また戻ってきたくなるまちを目指しています。今後は、住民全員にこのビジョンを浸透させ、『まちづくり=人づくり』の輪を広げたい」と考えています。

山口氏は、「既に多様な取り組みをされています。特に若い世代を巻き込んでいるのが素晴らしい。今後も地域と関わることの楽しさを伝えていってください」とコメントしました。

砺波市庄川の発表

⑤ 富山市船峅:「人こそ最大の地域資源」という気づきから「村まるごとキャンパス」構想へ

富山市船峅では、「ふなくら活性化協議会」と「ふなくらや企画」が合同で活動しています。昨年度は地域住民を招いた勉強会を6回開催し、「船峅でどう暮らしたいのか」「どんな子育てをしたいのか」を語り合いました。この勉強会を通じて、「人こそ最大の地域資源」だという気づきと、地域全体で主体的に考える姿勢が芽生えたといいます。地域のビジョンは「村まるごとキャンパス」。持続可能なプロジェクト推進、外部とつながる入口づくり、宿泊体験実施を展開する計画です。

山口氏は、「元々は別だった二つのチームが合同で活動しているのですね。地域の中で複数の視点があるのは素晴らしいこと。子育て世代も含め多くの層を巻き込みながら、今後も多様な意見を取り込みながらビジョンの実現に向けて取り組んでいけるとよいと思います」とコメントしました。

富山市船峅の発表

⑥ 射水市水戸田:「日常の延長にある非日常」を提供し、五感で楽しむ体験とコミュニティを創出

人口約1,100人の里山地域である射水市水戸田は、陶房「匠の里」やいみず食香バラ、小杉丸山遺跡など豊かな資源に恵まれています。住民参加のワークショップを通じて、ビジョン「人の心を耕す里山地域」を策定しました。「匠の里」を「水戸田地区の土間」と位置づけ、「火入れ体験」や「いみず食香バラの摘み取り体験」などを開催。日常の延長にある非日常を提供することで、五感で楽しめる体験とコミュニティづくりを進めていきたいと考えています。

山口氏は、「『日常の延長にある非日常』はいい言葉ですね。日常と非日常を行ったり来たりできることはとても大切。魅力的な取り組みになると期待しています」とコメントしました。

射水市水戸田の発表

⑦ 富山市神明:「通過する場所」からの脱却を目指し、地域おこしと関係人口増加へ

今年度この事業に採択され活動が始まったばかりの富山市神明は、富山市中心市街地に近く「半市街地・半農村地」という特徴を持つ地域です。しかし、立ち寄れる場所が少なく通過する場所になっている点が課題。その他にも農業の担い手不足や農業施設の維持困難、少子高齢化など多くの課題を抱えています。2025年には地域おこし協議会を発足し、アグリスポーツやひまわり畑、餅つき大会などを実施する予定です。今後も地域の声を聞きながら活性化に取り組み、就農者や農業以外の分野でも神明に関わる人を増やしていきたいと考えています。

山口氏は、「まずは地域内で『今後何を目指すのか』を議論し明確にし、地域の外の人から『神明はこういうところ』と言ってもらえるものを作り上げていくことが重要です」とアドバイスしました。

富山市神明の発表

⑧ 射水市金山:松茸、鴨、ホタル…豊かな地域資源を活かしたブランド確立へ

射水市金山は、松茸や鴨、ホタル、ビオトープなど多くの豊かな資源を持つ地域です。メンバーは地域の若手農業者を中心に多様な主体で構成されています。活動は始まったばかりですが、農業と食を絡めてビジョンを策定したいと考えており、ピザ焼き体験や原木椎茸栽培を通じて、この地域の代名詞となるブランドを確立し、「インターそばの里山オアシス」を目指しています。

山口氏は、「交通の便の良さは強みではありつつ、大事なのは『この地域の魅力の根本は何か、それをどう見せていくか』です。外から見たこの地域の特徴と魅力を、しっかり言葉にして作り上げてください」とアドバイスしました。

射水市金山の発表

ディスカッションで課題を共有し、互いに学ぶ

各地域の報告後、参加者たちは活動傾向が似ている4地域ずつ、2つのグループに分かれてディスカッションを行いました。各10分間、3回相手を変えて意見交換が実施されました。

グループA:農と空き家活用が中心

  • 桐谷

  • 金山

  • 大長谷

  • 船峅

グループB:場とコミュニティ運営が中心

  • 庄川

  • 神明

  • 西高木

  • 水戸田

活発なグループディスカッション

議論の中で、以下のようなテーマが主な焦点となりました。

  • 実証実験を行った地域の経験談と課題

  • ビジョン策定で起こった問題点

  • 仲間を増やすことの難しさ

  • 誰でも交流できる場づくり

  • ネットワークを広げる具体的な方法

  • 宿泊施設をどう整備するか

参加者たちは、異なる地域の事例から多くの刺激を受け、自地域での実践に向けた具体的なヒントを得られたようです。

意見交換の様子

参加者の声と今後の展望

ディスカッション終了後、各地域の代表者からは、本イベントで得られた学びや刺激に対する前向きな感想が寄せられました。

  • 水戸田:「いろんな形で農業、自然栽培の話が聞け、参考になりました」

  • 神明:「人をどう呼び込むか、中心人物をいかに取り込んでいくかを考えることの大切さを感じました」

  • 船峅:「どの地域のメンバーも熱量が高く、圧倒されました。いろんな刺激をもらえてよかった」

  • 金山:「先に取り組んでいる地域から参考意見をいただきました。過疎の地域で普段は前向きではない話題も多い中、今日はとても有意義でした」

  • 桐谷:「いろんな地域と交流できました。それぞれの地域でどう展開していくのか、今後が楽しみです」

  • 大長谷:「各地域、課題は似ていますが、解決方法はそれぞれ異なることが分かりました」

  • 西高木:「仲間が増えてワクワクしています。今後が楽しみです」

  • 庄川:「地域に戻るといろんな問題が起こると思いますが、今日はいろんな活力をもらえました」

この「田園イノベーション・ミートアップ」で構築されたネットワークが、今後の各地域の活動にどのように活かされていくのか、8地域の挑戦はこれからも続いていくことでしょう。

イベント参加者の集合写真

富山県の地域創生に関するお問い合わせ先

富山県知事政策局企画室成長戦略課
TEL.076-444-8961(平日 8:30~17:15)
MAIL.akiaku@pref.toyama.lg.jp