日本からウクライナへ、未来を運ぶ教材
このプロジェクトでは、日本全国から集まったNゲージ、岐阜県安八町の小中学生が託したレゴブロック、そしてブラックマヨネーズ吉田敬氏の「どうかしてるぜ基金」で購入されたミニ四駆が、ウクライナの子どもたちの手に渡りました。これらの教材は、単なるおもちゃではありません。戦争の最中にあっても、子どもたちが「自分たちはどのような未来のまちで暮らしたいか」を考え、設計し、つくり、伝えるための大切な道具となりました。
三つの教材が担う役割
プロジェクトで活用された三つの教材は、それぞれ異なる役割を担い、子どもたちの創造力と未来への希望を育みました。
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Nゲージ:交通とまちのつながりを考える
一本のレールから、交通、電気、エネルギー、そして学校や病院の配置といった、まちの基盤を考える教材です。「誰と誰をつなぐのか」という問いかけを通じて、子どもたちはまちの機能と人々の生活のつながりを学びました。
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レゴ:想像力を形にする
頭の中に描いた家、学校、病院、公園といった具体的な建物を形にするレゴブロックは、子ども自身が必要なものを考え、創造する力を養いました。
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ミニ四駆:再建の楽しさを学ぶ
組み立て、試走し、動かなければ直して再挑戦するミニ四駆の体験は、傷ついた社会を再建する営みとも重なります。壊すことよりも創る楽しさを教える教材として活用されました。
日本からの温かい支援がウクライナへ
このプロジェクトの原点は、千葉県柏市立名戸ケ谷小学校の津久井智洋校長が、学校生活に困難を抱える児童のために校長室に設けた「小さな理科実験室」でNゲージを活用していたことにあります。津久井校長はNゲージ授業を監修し、自ら寄付第1号者となりました。

2026年8月には、なかよし学園がNゲージの寄付を呼びかけると、日本全国から車両、レール、駅舎などが集まりました。提供者の子どもの頃の夢や家族との思い出が込められた模型は、ウクライナの子どもたちへ託されました。


また、岐阜県安八町の小中学生からはレゴブロックが提供され、ブラックマヨネーズ吉田敬氏の「どうかしてるぜ基金」は、ミニ四駆の購入費用だけでなく、子どもたちと退役軍人が共に学び、再挑戦するための教育資金としても活用されました。

ウクライナでの具体的な活動と成果
プロジェクトは、キーウの鉄道模型・ミニチュア博物館「MINILAND.UA」、ブチャ出身のデュマ氏が運営する教室、そしてリビウ市立東洋言語・東洋武道中等教育学校「ブドーカン」の3カ所で実施されました。
MINILAND.UA:専門家も認めた日本の教材
キーウの「MINILAND.UA」では、中村雄一代表と中村里英事務局長が日本の教材を贈呈しました。鉄道模型の専門家たちは、その種類、状態、精巧さに驚き、日本の模型が両国の共通言語となりました。同館は、寄贈された教材を今後の子ども・学生向け教育プログラムで活用する意向を表明しています。


デュマ氏の教室:ものづくりが心をつなぐ
キーウ市内の地下シェルターで行われた「未来のまちづくり」教室には、子ども、保護者、PTSDを抱える退役軍人が参加しました。ブチャ出身のデュマ氏が率いるこの教室では、日本から届いたNゲージ、レゴ、ミニ四駆を使い、参加者たちが協力してまちをつくりました。ものづくりは、言葉だけでは難しい対話を生み出し、心理的回復と他者とのつながりの再構築を支援する可能性が確認されました。

デュマ氏からは「戦争が続くウクライナまで実際に来て、子どもや退役軍人と同じ場所に立ち、同じテーブルで模型をつくってくれたことが、世界から忘れられていないという希望になった」との感謝のメッセージが寄せられました。

武道館学校:現実課題を未来へつなぐ学び
リビウ市立東洋言語・東洋武道中等教育学校「ブドーカン」では、子どもたちがNゲージとレゴで鉄道周辺のまちを設計しました。駅の配置、学校や病院への移動手段、停電時の電力供給など、戦争によって生まれた現実の課題が、まちづくりの問いへと変わりました。手回し発電機でNゲージを走らせる実験や、自分たちの経験をもとに「ウクライナカルタ」を制作する活動も行われました。このカルタは日本へ持ち帰られ、日本の子どもたちが戦争下の日常を学ぶ教材となります。

授業で使用された教材は学校に贈呈され、先行して体験した子どもが次の学年の子どもたちに教える「体験リレー学習」の仕組みが残されました。ウクライナで生まれたカルタや美術作品は日本へ、日本の教材はウクライナへ、と互いに学びを循環させるCoRe Loopが始まりました。

平和への貢献と今後の展望
このプロジェクトは、子どもたちを「支援される存在」から「未来を設計する主体」へと変え、地下シェルターを未来をつくる教室へと変容させました。戦争によって「今日を生き延びること」に追われる人々へ、「自分たちがつくる明日」を考える時間を取り戻す。これが、「なかよし鉄道・ウクライナ未来のまちづくりプロジェクト」が果たした平和貢献です。
なかよし学園プロジェクトの中村雄一代表は「この平和へと導くレールをここで終わらせません」と語っています。今後は、MINILAND.UAでのワークショップ、武道館学校での体験リレー学習、デュマ氏らとの第2期共同活動、そして日本とウクライナの学校間交流が予定されており、さらなる活動の広がりが期待されます。
このプロジェクトは、遠い国で起きている出来事を「自分ごと」として捉え、行動する平和の重要性を示しています。私たち一人ひとりができる小さな貢献が、大きな希望へとつながることを教えてくれるでしょう。
関連情報
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MINILAND.UA: https://miniland.ua/
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武道館学校: https://budokan.lviv.ua/
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なかよし学園 CoRe Loop: https://nakayoshigakuen.org/coreloop