親の施設入居後も続く「実家管理」の負担、9割超の家族が直面
「親が介護施設に入居したら、介護の負担はひと段落するだろう」そう思っていませんか?しかし、一般社団法人 空き家管理士協会が実施した「施設入所時における高齢者の自宅管理・家族負担に関する実態調査」によると、親が施設に入った後も自宅の管理が家族にとって大きな負担となっている実態が明らかになりました。
介護と空き家対策の間に潜む「見えない負担」とは
この調査は、高齢者が介護施設へ入所したり、長期入院したりした後、本人の自宅管理が誰にどのような負担として発生しているのかを把握するために行われました。目的は、家族の介護負担軽減、介護離職の予防、管理不全空き家の予防、そして今後の制度提言や自治体モデル事業の検討材料とすることです。
調査の結果、施設入所中の自宅管理について、驚きの92.0%が「家族にとって負担になっている」と回答しています。さらに、83.5%が「現在の介護・福祉制度の中では対応しにくい」と感じており、介護と空き家対策の間にある制度上の隙間が浮き彫りになりました。

具体的な困りごと上位は「雑草」「遠方」「郵便物」
施設入所・長期入院後の自宅管理に関する困りごとでは、どのような問題が上位に挙がったのでしょうか。最も多かったのは「雑草や庭木が伸びる」で69.0%でした。次いで、「家族が遠方で見に行けない」が47.5%、「郵便物がたまる」が44.0%となっています。

この結果から、自宅管理の課題は建物の劣化だけでなく、近隣関係、防犯、家族の移動負担、そして「誰に相談すれば良いか分からない」といった不明確さが複雑に絡み合っていることが分かります。
「同居していない家族」に集中する「見えない介護負担」
自宅管理の主な担い手は、「同居していない家族」が58.5%で最多でした。親が施設に入所しても、実家の確認や管理は、遠方に住む家族に残されがちです。一方で、「誰も対応していない」という回答も34.5%あり、家族が担い切れない、または担い手が不在となっている住宅も少なくないことが示されています。

この負担は、介護保険制度では見えにくいものの、移動時間、交通費、仕事との調整、精神的な不安などを伴う「見えない介護負担」として、介護離職につながる可能性も指摘されています。
自治体による支援はどこまでが現実的?
調査では、自治体による月1回程度の支援について、58.0%が「必要」「条件付きで必要」と回答しました。ただし、支援の対象範囲については、私有財産の価値向上を目的とする管理ではなく、あくまで生活基盤の維持や異常の早期把握、管理不全空き家の予防に資する「最低限の確認・異常把握」に限定する方向が妥当だと考えられています。
具体的に妥当とされた内容は、以下の通りです。
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郵便物の滞留確認
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近隣からの連絡内容の共有
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月1回程度の外観確認
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台風・地震・大雨後の一次確認
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不法侵入の形跡確認

遺品整理や家財整理、修繕工事、売却準備などは、公的支援の対象外とすべき内容として上位に挙がっています。
「留守宅管理」は介護と空き家対策をつなぐ新しい政策課題
施設入所後の自宅は、完全に人が住んでいるわけでも、完全に空き家になっているわけでもありません。いわば「誰も住んでいないけれど、まだ役割を失っていない家」です。これは、本人にとっては退所後や一時帰宅時に戻る可能性のある生活基盤であり、家族にとっては介護と並行して発生する「見えない負担」であり、地域にとっては管理不全空き家を未然に防ぐ予防的な対象でもあります。
そのため、この「留守宅管理」を介護・住まい・地域をつなぐ新たな政策課題として位置づけ、社会全体で支える仕組みづくりが求められています。
今後の展望と私たちにできること
一般社団法人 空き家管理士協会は、今回の調査結果をもとに、自治体向けの「留守宅管理モデル事業提案書」の作成を進めています。来年度から一部自治体でモデル事業を実施できるよう、具体的な事業設計や実施体制、費用負担のあり方について検討を進めていくとのことです。
また、2027年3月をめどに、国および自治体に対し、施設入所後の自宅管理を家族介護負担の軽減、介護離職の予防、本人の生活基盤維持、管理不全空き家予防に関わる政策課題として位置づけるよう政策提言を行う予定です。
この問題は、多くの家族が直面する可能性のある身近な課題です。もし、あなたの身の回りで同様の悩みを抱えている方がいたら、ぜひこの調査結果や今後の動きについて情報を共有してみてください。そして、空き家管理や留守宅管理についてさらに詳しく知りたい方は、一般社団法人 空き家管理士協会のウェブサイトを訪れてみてはいかがでしょうか。
関連情報
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一般社団法人 空き家管理士協会:https://www.akiyakanrishi.org/